孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
18 それってプロポーズですか?
「はい、どうぞ! いつものフレンチトーストですよ!」
アルト様とショコラにそれぞれフレンチトーストを配るけれど、二人の表情は少し固い。
「今日は生クリームもあるんですよ。ご飯を食べて元気に暗黒期を乗り切りましょう」
部屋を出てすぐに暗黒期だとショコラに告げられて……ひとまず私たちはいつも通り朝食をとることにした。
「糖分取らないと頭も回りませんしね!。――あ、そうだ」
私は生クリームをテーブルに置いてから、アルト様の前に移動してみた。
「どうですか? 一番初めに私を見ましたよね? 私のこと花嫁に見えますか?」
私の言葉にショコラが小さく吹きだした。私は至って真面目でふざけてるわけじゃないのに!
「……正直まだわからん。でもお前以外を今日は目に入れないことを約束する」
アルト様は私をじっと見てから、そう言った。あっさりと言いのけたけど、それって……。私は思わずショコラを見るけれど、ショコラは何も言わずにニコニコと状況を見守っている。
「あのアルト様、それってプロポーズと取ってもいいんでしょうか!?」
私の言葉にアルト様は思い切りむせた。
「お前のそのポジティブな受け取り方は尊敬を覚える」
「だって! 私以外の人間を目に入れないって」
「お前が初めてここに来た時にそう言ったんだろう」
「覚えててくれたんですね、嬉しいです!」