孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
半年ほど過ぎた頃。学園の休日、私は久しぶりに父に会いにきていた。
この男のことはあの親子よりも嫌いだ。前世を思い出す前は「お父様に会いたい」と父恋しさに涙することもあったけど、前世を思い出して完全体アイノになってからはこの男には憎しみしかない。
全てはこの男のせいだからだ。大好きな母と幼い私を裏切って浮気して二重生活を送り、虐げられている私を見て見ぬふりをしやがって。
なんならあの親子を王都から領地送りにしたのは、新しい女が出来たかもしれないし、実は兄弟がまだどこかにいるのかもしれない。
そんなこの世で一番憎むべき父親だが、唯一いいところは侯爵とで国の重要な仕事に就いているらしいということだ。それなりに地位と影響力がある父親の前で演技をするのが本日のミッション。