孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
翌朝、私は父に手紙を出した。
「昨日不思議な夢を見ました。夢の中の私は花嫁姿で、預言者と名乗る人からお告げがありました。お話がしたいです」
と書いて送ると、昼には王城に呼び出された。
謁見の間には国の重鎮らしいおじさんたちと、父、それから国王がいた。
ああそうだ、自分のことしか考えていない貴族の中には国王もいたんだった。たしかこの男、王子ルートではラスボスとして活躍していて、何度もこの男にバッドエンドで殺されたっけ。
この国は滅びた方がいいかもしれない。
「プリンシラ侯爵から話は聞いた。して、どのようなお告げがあったのだ」
「まもなく暗黒期が訪れ、私が今回の花嫁だというお告げです」
一人の重鎮からうめき声が漏れたのを皮切りに場は騒然した。「なぜだ……!」「暗黒期がなぜ」「まさか魔族が……?」「花嫁が現れたということはそういうことか?」と口々に声を上げる。
……なんだか想像してた反応と違う。
驚かれるとは思っていたが、それは「なぜ白の花嫁のお告げがあったのか」という反応だと思っていたのだ。占いなどで決めるのではなく、おえらいさんが都合のいい女を決めるからだ。
彼らは、暗黒期が訪れること自体に驚いている。
数十年前にも、それ以前も暗黒期は訪れたはずなのに。まるでおとぎ話の中のことが本当に起きた、という反応だ。