孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「それなら良かった。……何もしないと言ったのに、キスをしてしまったから」
先程のキスを思い出すと私も笑ってはいられず、恥ずかしさがこみ上げてきて何も言えなくなる。お互い黙ってしまうから私は「あのキスは反則ですよ」と呟いた。
「あれはお前が煽った。……制御できないからやめてくれ」
「でも嫌ではないですよ。アルト様も嫌ではないですよね?」
「はあ」
アルト様は眉間のシワを手を当てて大きなため息をついた。
「嫌なわけない」
「ふふ、もう不安はないから大丈夫ですよ」
「そうか」
「――じゃあそろそろ部屋に戻ります。体調は全然大丈夫なんですが、魔力を渡すとすごく眠くなるんです。だから最近すごく早寝ですよ。部屋に戻るとすぐ寝ちゃうんです」
ふぁあとあくびをして立ち上がると、ベッドに置いてあったサマーニットを渡した。
「これ着てくださいね。羽の大きさが合わないなら調整するから言って下さい。夜は冷えるので」
「いまから調整するのか?」
「寝落ちしちゃいそうなので明日やります」
「寝落ちしてもいい」
アルト様はサマーニットではなく、私の手を掴んだ。
「もう少しこの部屋にいないか?」
「でも私寝ちゃうかもしれませんよ」
「わかった」
わかったと言うわりにアルト様は手を離してくれない。少しの沈黙の後にアルト様は私を抱き上げてベッドに横たわらせた。
「ここで眠ればいい」
なるほど。ニットの穴の大きさをすぐに調整してほしいわけではなさそうだ。
ここで眠っていい……それは眠ってほしいということかしら。
「ずっとそばにいて欲しい」という意味だと解釈する。都合よく考えていいと言われたんだもの。
「ほんとに眠っちゃいますよ。この部屋にいてもいいんですか?」
アルト様は私の身体にブランケットをかけた。
「おやすみ、アイノ」
私の髪の毛を撫でてくれる優しい手が、都合のいい考えを肯定してくれているように思えた。
先程のキスを思い出すと私も笑ってはいられず、恥ずかしさがこみ上げてきて何も言えなくなる。お互い黙ってしまうから私は「あのキスは反則ですよ」と呟いた。
「あれはお前が煽った。……制御できないからやめてくれ」
「でも嫌ではないですよ。アルト様も嫌ではないですよね?」
「はあ」
アルト様は眉間のシワを手を当てて大きなため息をついた。
「嫌なわけない」
「ふふ、もう不安はないから大丈夫ですよ」
「そうか」
「――じゃあそろそろ部屋に戻ります。体調は全然大丈夫なんですが、魔力を渡すとすごく眠くなるんです。だから最近すごく早寝ですよ。部屋に戻るとすぐ寝ちゃうんです」
ふぁあとあくびをして立ち上がると、ベッドに置いてあったサマーニットを渡した。
「これ着てくださいね。羽の大きさが合わないなら調整するから言って下さい。夜は冷えるので」
「いまから調整するのか?」
「寝落ちしちゃいそうなので明日やります」
「寝落ちしてもいい」
アルト様はサマーニットではなく、私の手を掴んだ。
「もう少しこの部屋にいないか?」
「でも私寝ちゃうかもしれませんよ」
「わかった」
わかったと言うわりにアルト様は手を離してくれない。少しの沈黙の後にアルト様は私を抱き上げてベッドに横たわらせた。
「ここで眠ればいい」
なるほど。ニットの穴の大きさをすぐに調整してほしいわけではなさそうだ。
ここで眠っていい……それは眠ってほしいということかしら。
「ずっとそばにいて欲しい」という意味だと解釈する。都合よく考えていいと言われたんだもの。
「ほんとに眠っちゃいますよ。この部屋にいてもいいんですか?」
アルト様は私の身体にブランケットをかけた。
「おやすみ、アイノ」
私の髪の毛を撫でてくれる優しい手が、都合のいい考えを肯定してくれているように思えた。