孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「ドキドキかは知らん。でもアイノといると、心臓がちゃんと動いていることを感じる」
「……そんなに早くないけど、心臓の音がちゃんと聞こえますよ」
私はアルト様の胸に手を当てた。トク、トクと規則正しいリズムを感じる。
「アイノが来てから、生きてるみたいだ」
「……アルト様は生きてるんですよ。ちゃんと生きてます」
至極当たり前のことを言い合ってる。それなのにどうして語尾が涙で濡れてしまうんだろう。
この人を絶対に幸せにしたい。そんな使命感のような物が熱く滾る。
「ありがとう」
消え入りそうな優しい言葉が耳元で聞こえて、私はもっともっと力を込めて抱きしめた。
「あれ……?」
急に部屋が明るく感じた。視線を変えてみるとカーテンから光が零れ落ちている。キラキラと粒のような明るい陽射しが部屋に入り込んだ。
「えっ、暗黒期終わったんですか!?」
アルト様はそっと私の身体を離すと窓際に移動してカーテンを開けている。私もすぐに窓際に向かった。
――数日ぶりに。爽やかな朝の庭が窓の向こうに広がっていた。
「外も見てみるか」
私たちは外に向かった。久しぶりの光に足は急いでしまう。
外に出ても間違いなく、そこには朝があった。朝の匂いだってする。今日は雨も降っていない、新鮮な空気をしっかり胸に入れた。
「しかし暗黒期はまだ終わらないはずだ」
「そうよ。一時的な物に過ぎないわ」
足元から声が聞こえてきたかと思えば、そこにはショコラの姿があった。
「暗黒期はずっと暗闇というわけでもないのよ。心が安定すると光さす時もある」
「……そんなに早くないけど、心臓の音がちゃんと聞こえますよ」
私はアルト様の胸に手を当てた。トク、トクと規則正しいリズムを感じる。
「アイノが来てから、生きてるみたいだ」
「……アルト様は生きてるんですよ。ちゃんと生きてます」
至極当たり前のことを言い合ってる。それなのにどうして語尾が涙で濡れてしまうんだろう。
この人を絶対に幸せにしたい。そんな使命感のような物が熱く滾る。
「ありがとう」
消え入りそうな優しい言葉が耳元で聞こえて、私はもっともっと力を込めて抱きしめた。
「あれ……?」
急に部屋が明るく感じた。視線を変えてみるとカーテンから光が零れ落ちている。キラキラと粒のような明るい陽射しが部屋に入り込んだ。
「えっ、暗黒期終わったんですか!?」
アルト様はそっと私の身体を離すと窓際に移動してカーテンを開けている。私もすぐに窓際に向かった。
――数日ぶりに。爽やかな朝の庭が窓の向こうに広がっていた。
「外も見てみるか」
私たちは外に向かった。久しぶりの光に足は急いでしまう。
外に出ても間違いなく、そこには朝があった。朝の匂いだってする。今日は雨も降っていない、新鮮な空気をしっかり胸に入れた。
「しかし暗黒期はまだ終わらないはずだ」
「そうよ。一時的な物に過ぎないわ」
足元から声が聞こえてきたかと思えば、そこにはショコラの姿があった。
「暗黒期はずっと暗闇というわけでもないのよ。心が安定すると光さす時もある」