孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「……嫌だったか?」
「楽しいからいいですよ」
「なら良かった」
アルト様は気まずさをごまかすように魔法書を手に取るから、アルト様の手に自分の手を重ねてみた。
「でも恋人らしいことは『夜』だけですよね?」
今の生活で、少し不満があるといえばそれだった。『夜』は私のことを抱きしめて、甘い声で名前を呼んで、髪を撫でて、ほとんど毎日のようにキスをするというのに。
昼間は一緒に過ごしているのに、一定の距離があって触れることはない。
『夜』は酔っ払っているようなものだとショコラも言っていた。気持ちが高まって気が大きくなって理性が飛ぶ。
それならシラフの状態でも、恋人のようなことがしたいと思うのは当たり前だと思うのよ。
「……」
「お昼にキスをされたこともないですし」
「まあそうだな」
アルト様はさっと目をそらすけど、私は両手で頬を挟んで自分の方に向けてみる。
「……『夜』に魔力をもらうから、昼まで無理をさせるのはよくない」
「無理してないですよ」
「身体はわからない」
「でも」
抗議の声を上げてみると色づいた頬のアルト様が「目を閉じろ」と言ってくれるから、私は素直に目を閉じた。
初めて気持ちが通じ合ったときのような、本当に触れたかわからないほどのキスをして、すぐに顔は離れた。
……何度もキスを、もっと深いキスだってしているのに。こんなに照れている初な姿を見れるなんて。可愛い。本当に可愛い。
『夜』は私が翻弄されっぱなしだから、仕返しだ。
腕を引っ張って顔を近づけると私からもキスをした。
「楽しいからいいですよ」
「なら良かった」
アルト様は気まずさをごまかすように魔法書を手に取るから、アルト様の手に自分の手を重ねてみた。
「でも恋人らしいことは『夜』だけですよね?」
今の生活で、少し不満があるといえばそれだった。『夜』は私のことを抱きしめて、甘い声で名前を呼んで、髪を撫でて、ほとんど毎日のようにキスをするというのに。
昼間は一緒に過ごしているのに、一定の距離があって触れることはない。
『夜』は酔っ払っているようなものだとショコラも言っていた。気持ちが高まって気が大きくなって理性が飛ぶ。
それならシラフの状態でも、恋人のようなことがしたいと思うのは当たり前だと思うのよ。
「……」
「お昼にキスをされたこともないですし」
「まあそうだな」
アルト様はさっと目をそらすけど、私は両手で頬を挟んで自分の方に向けてみる。
「……『夜』に魔力をもらうから、昼まで無理をさせるのはよくない」
「無理してないですよ」
「身体はわからない」
「でも」
抗議の声を上げてみると色づいた頬のアルト様が「目を閉じろ」と言ってくれるから、私は素直に目を閉じた。
初めて気持ちが通じ合ったときのような、本当に触れたかわからないほどのキスをして、すぐに顔は離れた。
……何度もキスを、もっと深いキスだってしているのに。こんなに照れている初な姿を見れるなんて。可愛い。本当に可愛い。
『夜』は私が翻弄されっぱなしだから、仕返しだ。
腕を引っ張って顔を近づけると私からもキスをした。