孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
困ったようにアルト様は眉を下げて「だから煽るな」と、今度は噛みつくようなキスをされた。
「へへ。嬉しい。たまにはこうやってお昼もキスをしてくださいね」
「体調は大丈夫なのか?」
「はい。問題ないですよ」
真面目に私の顔色を確認した後、私の顎に長い指が添えられる。
そのままもう一度キスを――
「あ、ごめんなさい。いいところだったわよね」
ギィと扉の音が鳴りリビングルームに入ってきたのはショコラだった。アルト様は本当に素早く即座に私から離れた。……そんなに照れることないのに。
「ショコラおかえり!」
「ただいま。邪魔者は出ていくからごゆっくり、といいたいところだけどそういうわけにもいかないの」
からかうような表情をしていたショコラの顔が真剣なものに変わる。近づいてきて私の膝に飛び乗った。
「何かあったのか?」
「残念ながらね。魔物が人間の子供を襲ったわ。命に別状はなさそうだけど」
「なんだと……どういうことだ?」
「魔物たちは制御できていたんじゃないの?」
アルト様の心はおだやかで魔物たちもそれほど凶暴化していない。日がさしこむ日も増えてきたし暗黒期が始まってひと月ほど経つから、早ければそろそろ終息に向かっていくのではないか。そんな話をしていたというのに。
「森から出てしまった者がいたか?」
「いいえ、森に子供が紛れ込んだのよ」
「なんだって? 暗黒期にそんな危険な」
「迷子になってしまったと言っているけど、どうやって門を越えたのかしらね」
「まさか国が仕向けた?」
「へへ。嬉しい。たまにはこうやってお昼もキスをしてくださいね」
「体調は大丈夫なのか?」
「はい。問題ないですよ」
真面目に私の顔色を確認した後、私の顎に長い指が添えられる。
そのままもう一度キスを――
「あ、ごめんなさい。いいところだったわよね」
ギィと扉の音が鳴りリビングルームに入ってきたのはショコラだった。アルト様は本当に素早く即座に私から離れた。……そんなに照れることないのに。
「ショコラおかえり!」
「ただいま。邪魔者は出ていくからごゆっくり、といいたいところだけどそういうわけにもいかないの」
からかうような表情をしていたショコラの顔が真剣なものに変わる。近づいてきて私の膝に飛び乗った。
「何かあったのか?」
「残念ながらね。魔物が人間の子供を襲ったわ。命に別状はなさそうだけど」
「なんだと……どういうことだ?」
「魔物たちは制御できていたんじゃないの?」
アルト様の心はおだやかで魔物たちもそれほど凶暴化していない。日がさしこむ日も増えてきたし暗黒期が始まってひと月ほど経つから、早ければそろそろ終息に向かっていくのではないか。そんな話をしていたというのに。
「森から出てしまった者がいたか?」
「いいえ、森に子供が紛れ込んだのよ」
「なんだって? 暗黒期にそんな危険な」
「迷子になってしまったと言っているけど、どうやって門を越えたのかしらね」
「まさか国が仕向けた?」