孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
国王に視線を投げかけられたプリンシラ侯爵が前に出た。
「では最後に私からの報告です。先日出した文に返事がありました」
「生き残りがいることは百パーセント確定となったわけだな。して内容は?」
「白の花嫁は『アイノ・プリンシラ』ただ一人であることと他の花嫁は必要ない旨が記載されていました。今までどれだけアクションを取っても反応はありませんでしたから、アイノ・プリンシラが魔人にとって重要な存在であることは間違いないでしょう」
「では計画通りに進めようか」
プリンシラ侯爵は国王の返事を聞くと、書類を皆に配る。
「一週間後に広場にて国民への演説を予定しております。世論は魔人を滅ぼすべきものと傾いていますから、軍が魔の森に向かっていると宣言し国民の不安を取り除きます。
そして、同時にリイラ・カタイストの処刑を行います。白の花嫁を騙り、国を混乱に陥れたと見せしめの磔にする予定です」
「アイノ・プリンシラを釣りだすのか」
「はい。この後リイラ・カタイストは捕らえ、魔の森にも使いを送ります。白の花嫁は二人も存在するはずがないのだから偽の花嫁は処刑すると。我が娘ながらアイノは責任感があります。国のために花嫁に立候補したくらいですから。身代わりに友人が処刑されるのならば助けにくるはずです。彼女を白の花嫁として溺愛している魔人も一緒に王都に来るはずですから」
「なるほど。王都で討ち取るわけですか」
「臨時魔法士は二十名程王都に派遣してください。残りは魔の森で魔物の制御でお願いします」
「無事に王都で魔人を討ちとることができれば、魔物と適当に戦わせておこう」
プリンシラ侯爵と防衛大臣は顔を見合わせて頷き合う。