孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「国はアルト様を殺そうとしている……そういうことね……でも、私が抗議と否定をしにいかないとリイラが……」

「リイラは処刑されるでしょうね」

 ああどうして。こんなところだけゲーム通りなんだろう。
 リイラは国に『白の花嫁』に選ばれてしまうし、命を狙われてしまう。
 そしてアルト様の命も……。このまま行きつく先はバッドエンドしかないというのだろうか。

「一応アイノが言った内容で返事を出しておくわ。聞き入れられることはないと思うけれど……」
「この茶番の目的から考えると、減刑されることはないだろうな」
「そうね」

 ……そうだ。ゲーム通りならば。

「リイラは逃げてるかもしれない」

 そうだ、きっとそうに違いない。マティアス王子とリイラの恋は走り出していた。きっと逃げている。――ゲーム通りにいくと国は死ぬ気で追いかけてくるけど。

「リイラがどこか安全な場所に逃げることができたなら国の要求は聞かなくたっていいわ! どこに逃げ込めたら……」

「安全な場所といえば、ここだろうな」

「そ、そうだわ! なんとかしてリイラがご両親の雑貨屋にたどり着けたらこの館に繋がるのだけど……国もリイラの探すなら一番に両親のもとに行くわよね」

「雑貨屋以外でも転移を繋ぐことはできるわ。彼女の居場所を探しましょうか」

 ショコラは初めて笑顔を見せると口笛を吹いた。先ほどの鳥型の魔物が数匹窓から入り込んでショコラの元にやってきたかと思うと、すぐにまた窓から飛び立っていった。

「今のは?」
「私の使い魔よ。リイラを探させるわ」

 ……ショコラも使い魔なのではなかっただろうか。
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