孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「わかりました。ショコラから聞いているかと思いますが、この部屋は魔法が使えません。武器も一度お預かりしてよろしいでしょうか」
「わかった」
王子は素直に剣を置こうとするが、一人が「それはさすがに危険ではありませんか?」と進言している。
彼は宰相の息子だったと思う、王子の右腕のはずだ。
「大丈夫です。ご不安でしたら、私をあなたの隣においてください。白の花嫁は魔人に愛されていますから。簡単な人質になります」
私がそう言うと王子が剣を置き他もならった。ショコラがそれをまとめて部屋の隅に移動させるとノックの音がした。
皆の表情がさっと硬くなるのがわかる。初めて魔人に会うのだ。緊張するのも無理はない。
扉がゆっくり開いてアルト様が顔を出した。もちろんアルト様が笑顔など作れるはずもないので恐ろしく感じてしまったかもしれない。でも彼だって緊張しているのだ。
「ようこそ」
アルト様はそう言って両手を軽くあげて武器がないことを証明してからソファに腰をかけた。「どうぞ」と座ることを促すので、対面にリイラと攻略対象たちは座った。知らない六名は彼らの後ろに控えたまま固まっている。私もアルト様の隣に座ってショコラは私の膝の上に乗った。
「はじめまして。僕はマティアスと申します。ご存知だと思いますが、イルマル王国の第一王子でした。今回は助かりました。国の手があと一歩まで迫っていたので」
「……」
にこやかに話すマティアス王子と対照的にアルト様は黙ったままなので「緊張しているんです」とフォローをいれておく。
「……魔人の生き残りだ。アルトと言う」
「アルト様、紹介します。彼はエリアス――」
そう言って王子は宰相の息子を紹介して、次々と攻略対象たちを紹介していく。ゲームの記憶はだいぶ薄れてきているけれど聞き覚えのある名前ばかりだ。
「わかった」
王子は素直に剣を置こうとするが、一人が「それはさすがに危険ではありませんか?」と進言している。
彼は宰相の息子だったと思う、王子の右腕のはずだ。
「大丈夫です。ご不安でしたら、私をあなたの隣においてください。白の花嫁は魔人に愛されていますから。簡単な人質になります」
私がそう言うと王子が剣を置き他もならった。ショコラがそれをまとめて部屋の隅に移動させるとノックの音がした。
皆の表情がさっと硬くなるのがわかる。初めて魔人に会うのだ。緊張するのも無理はない。
扉がゆっくり開いてアルト様が顔を出した。もちろんアルト様が笑顔など作れるはずもないので恐ろしく感じてしまったかもしれない。でも彼だって緊張しているのだ。
「ようこそ」
アルト様はそう言って両手を軽くあげて武器がないことを証明してからソファに腰をかけた。「どうぞ」と座ることを促すので、対面にリイラと攻略対象たちは座った。知らない六名は彼らの後ろに控えたまま固まっている。私もアルト様の隣に座ってショコラは私の膝の上に乗った。
「はじめまして。僕はマティアスと申します。ご存知だと思いますが、イルマル王国の第一王子でした。今回は助かりました。国の手があと一歩まで迫っていたので」
「……」
にこやかに話すマティアス王子と対照的にアルト様は黙ったままなので「緊張しているんです」とフォローをいれておく。
「……魔人の生き残りだ。アルトと言う」
「アルト様、紹介します。彼はエリアス――」
そう言って王子は宰相の息子を紹介して、次々と攻略対象たちを紹介していく。ゲームの記憶はだいぶ薄れてきているけれど聞き覚えのある名前ばかりだ。