孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「フロータ・ルイロー!」そう叫んで私はショコラを抱き上げたまま地上から浮き上がる。民の頭の上を通って私はバルコニーの方に空中を泳いでいく。
「待って! その処刑、待ちなさい!」
大きな声でもう一度叫ぶと「なんだあれは?」と私の影に気づいた者も現れた。私はバルコニーのふちに降り立った。ショコラをバルコニー内に放って顔を上げると、突然現れた私にその場の人間は凝視しつつ口角は上がっている。
「処刑されるのは私です。『白の花嫁』を騙ったのは私ですから。そこにいるリイラ・カタイストこそが本当の『白の花嫁』です」
そうだ、リイラが『白の花嫁』だ。その事実は変えなくたっていい。私はアルト様の花嫁なんだから。
突然現れた人間に皆静まり返って注目してくれている、都合がいいことだ。
国王たちは私が来ることを想定していたくせに白々しく驚いた表情を作っている。そっちも演技するってことね。
「なぜ君が!? まさかお前はまじょ――」
「虐げられていたからですよ!」
まさかお前は魔女か、だなんて言わせるつもりはない。私は顔を手のひらで覆った。
「申し訳ございません。まさかこんなことになるだなんて思っていなかったのです! まさか本当に暗黒期が訪れると思っていませんでしたから……! 騙すつもりはなかったのです!」
「……な」
突然泣き崩れた私に国王は面食らっているので、そのまま泣きまねを続けた。
「待って! その処刑、待ちなさい!」
大きな声でもう一度叫ぶと「なんだあれは?」と私の影に気づいた者も現れた。私はバルコニーのふちに降り立った。ショコラをバルコニー内に放って顔を上げると、突然現れた私にその場の人間は凝視しつつ口角は上がっている。
「処刑されるのは私です。『白の花嫁』を騙ったのは私ですから。そこにいるリイラ・カタイストこそが本当の『白の花嫁』です」
そうだ、リイラが『白の花嫁』だ。その事実は変えなくたっていい。私はアルト様の花嫁なんだから。
突然現れた人間に皆静まり返って注目してくれている、都合がいいことだ。
国王たちは私が来ることを想定していたくせに白々しく驚いた表情を作っている。そっちも演技するってことね。
「なぜ君が!? まさかお前はまじょ――」
「虐げられていたからですよ!」
まさかお前は魔女か、だなんて言わせるつもりはない。私は顔を手のひらで覆った。
「申し訳ございません。まさかこんなことになるだなんて思っていなかったのです! まさか本当に暗黒期が訪れると思っていませんでしたから……! 騙すつもりはなかったのです!」
「……な」
突然泣き崩れた私に国王は面食らっているので、そのまま泣きまねを続けた。