孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
 暗黒期に入った瞬間、ダッシュでアルト様に元に向かわなくては! この環境ならばまず間違いなく一番を取れるはずだけど、アルト様が私が逃げ出してしまったら!?

 微妙に魔王の設定が違う今。信じられる「設定」などない。シナリオ強制力でリイラしか白の花嫁として認められなかったらどうしよう。


 考えれば考えるほど、この先の未来が不安になってきたんだけど!?

 でも、そんなことでへこたれてはいられない。
 私がアルト様を甘々溺愛して、溺愛し返してもらうんですからね!


 夕飯はすぐに食べられるものをショコラが買ってきてくれた。パンとフルーツだけだけど、最近サンドラの食べ残ししか食べられていなかったのでなんでも美味しく感じる。

 夜までかかってダイニングもキッチンも綺麗になったことだし、明日から料理を始めてみよう。

 領地経営ができないなら、美味しいものを食べる。これも物語の定番だ。前世のことはあんまり覚えていないけど、料理は人並み程度にはできた気がする、フラグではなく本当にできたはずだ。

 屋敷はずっと暗いから日付感覚はないけど、時計を見ると既に夜を示している。
 ショコラが用意してくれていたふかふかのベッドで目を瞑ると、すぐに睡魔が襲ってきた。
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