孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
話す内容は定期報告なのですぐに終わったが、話の最後に父は不思議なことを言った。
「今までお前に頼んでいたリイラといったか――特別入学生の件だが。もう彼女を気にかけなくてもよい」
「なぜですか?」
「必要がなくなったからだ」
魔法学園アロバシルアには必ず一人平民が入ると決まっている。
平民が学園にいると肩身が狭いこともあるだろう。馴染めるように気にかけてやってくれ、と指示されていた。
リイラと入れ替わりで卒業していった平民の女生徒にも同様の指示があり、目に入れば声をかけるようにした。
それなのに突然「気にかけなくてもいい」とはどういうことだろうか。
アイノ嬢の失踪と、リイラへの指示は一見関係のないことなのに、なぜか結びついている気がしてしまう。
一度調べてみるか。何か嫌な感じがする。
リイラの笑顔をおもいだす。父に気にかけるなと言われても、もう彼女と話せない日々は考えられない。リイラのためなら僕はなんでもできるのだ。