孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜

10 人参降って地固まる

 

 お日様が真上に来た頃。庭掃除でかき集めた落ち葉に向かって私は手を伸ばす。

「フロータ・ルイロー」

 呪文を唱えると落ち葉たちはふわふわと舞い上がって、ダンスするかのようにその場にゆらゆらと滞在した。

「うん、成功。浮遊させたまま移動させるには……」

 アルト様に借りた魔法書を片手に、次の魔法を唱える。

 ――――あれから毎日魔法の勉強をしている。やっぱりある程度魔法は使えたほうが便利だし、日々使っている方が魔力も上がる。
 暗黒期は魔力が必要なはず。アルト様の花嫁になるためにも魔力アップは大切!


「ふう、もうこんな時間か」

 落ち葉たちと戯れていたらあっという間に時が過ぎていた。そろそろ夕食の準備をしなくちゃ。


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