孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
ここ二年は閉じこめられていたけど、お母さんと出かけたクリスマスマーケットはとても楽しかったんだから。
クリスマスって本当に胸が高鳴るわ。……リイラも素敵なクリスマスを過ごせるといいけれど。一年生のクリスマスイベントを一緒に過ごした相手のルートに入るから、リイラと王子が一緒に過ごせるように祈らないとね。
「よし、買い出しに行くわよ!」
「今から?」
「そうよ」
あれこれ想像を膨らませていた私の元にショコラはトテトテ近づいてきて「屈んで」と指示をする。言われた通りに屈んで彼女に顔を寄せると、ショコラは私の頬に肉球をプニと当てた。
そして、かわいい前足で空中でくるりと円を描くと、空中に水の膜が張られた。
「即席鏡よ。ほら、見て」
水面にうつっているのは、黒髪ロングヘアの私だった。髪型が違うだけでまるで私じゃないみたいだ。
「これを見てアイノだと気づく人はいないでしょ。ついてきて」
ショコラはリビングルームから出て二階に上がり私の部屋の隣にある空き部屋に進む。いつかみたいに二十年分の埃が出てくるのではないかと身構えたけど、扉を開けてもくしゃみは起こらない。部屋は家具一つもないガランとした空間だけど、日々掃除はされているみたいで清潔だ。
「ここは?」
「街への移動装置。この部屋自体に転移魔法をかけているの」
「魔の森を通って出るわけじゃないのね」
クリスマスって本当に胸が高鳴るわ。……リイラも素敵なクリスマスを過ごせるといいけれど。一年生のクリスマスイベントを一緒に過ごした相手のルートに入るから、リイラと王子が一緒に過ごせるように祈らないとね。
「よし、買い出しに行くわよ!」
「今から?」
「そうよ」
あれこれ想像を膨らませていた私の元にショコラはトテトテ近づいてきて「屈んで」と指示をする。言われた通りに屈んで彼女に顔を寄せると、ショコラは私の頬に肉球をプニと当てた。
そして、かわいい前足で空中でくるりと円を描くと、空中に水の膜が張られた。
「即席鏡よ。ほら、見て」
水面にうつっているのは、黒髪ロングヘアの私だった。髪型が違うだけでまるで私じゃないみたいだ。
「これを見てアイノだと気づく人はいないでしょ。ついてきて」
ショコラはリビングルームから出て二階に上がり私の部屋の隣にある空き部屋に進む。いつかみたいに二十年分の埃が出てくるのではないかと身構えたけど、扉を開けてもくしゃみは起こらない。部屋は家具一つもないガランとした空間だけど、日々掃除はされているみたいで清潔だ。
「ここは?」
「街への移動装置。この部屋自体に転移魔法をかけているの」
「魔の森を通って出るわけじゃないのね」