孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜

01 ヒロインはいじめられ仲間

 

 学園生活が始まっても私は相変わらずいじめられていた。

 どうやら悪役令嬢サンドラは転生者ではないらしい。断罪も恐れずに、元気に取り巻きを引き連れて私とリイラをいじめている。
内容はしょうもないことだ。リイラの平民がうつるとか臭いとか、私の穢れた血がうつるとか臭いとか。私の母は由緒正しい家なんだけどな!

 ちなみにサンドラは攻略対象たちの婚約者ではない。
 ヒロインがスムーズに恋ができるように『イルマル王国の貴族は学園生活の三年間で結婚相手を決める、それまで婚約者は作らない』とご都合主義設定がある。

 つまりサンドラは婚約者が奪われたという同情される理由もなく、普通にただ嫌なやつでただの悪役だ。まあ恋を盛り上げる舞台装置として生まれたキャラともいえるので、そのあたりは同情できるが。


 しかし私にとっては、サンドラはいい働きをしてくれている。私とリイラはいじめられ仲間になれたのだから!


 リイラの代わりに白の花嫁になるならば、暗黒期が訪れる前に自分から立候補する必要がある。

 ゲーム通りでいけば、二年生の中盤頃に世界は暗黒に包まれる。
 あと一年は余裕がある。その間に、今私が生きている世界とゲームの世界は本当に同じなのか。リイラは本当に存在しているのか、どんな子なのか、様子を見たいと思っていた。
友だちというのは最高だった。サンドラ、ありがとう!

< 9 / 231 >

この作品をシェア

pagetop