孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「アイノがここに来てくれて私も嬉しいの。私はあなたを使用人じゃなくて、家族として迎えたいと思ってるわ」

 穏やかな眼差しを向けてショコラは優しく語ってくれた。そしてショコラが私に前足を向けると、私は小さな光の粒たちに包まれた。
 まるで魔法使いがシンデレラに魔法をかける時のように、光の粉が降り注ぐ。粉がすべて消える頃には、私はプレゼントされた青のドレスを身にまとい、セミロングまで伸びた髪の毛は美しく結い上げられていた。

「ほら、素直になれないくせにロマンチックな魔王様。美しいご令嬢がいるのよ、エスコートしてあげなさい。さっきかけた魔法――アイノがいうにはイルミネーションだったかしら。庭にもかけてあげなさいよ。二人で散歩でもしていらっしゃい。私は食後のお茶を楽しんでおくからからごゆっくり」

「ショコラ……」

 ショコラは人間の姿に変わり、席に戻るとゆったりとした仕草でカップを手に取った。

「行くぞ」

 いつのまにか私の目の前にアルト様は来ていて、手を差しだしてくれている。

「いいんですか?」
「このカーディガンは防寒に優れている、外に出ても問題ない」
「嬉しい! ありがとうございます!」

 差し出されたアルト様の手のひらに自分の手を重ねた。

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