財閥御曹司とお見合い偽装結婚。



 目の前に配膳された料理にお腹がなりそうになるのを抑えながら、仲居さんの説明を聞いた。


 口取りには『臼井豆腐と花弁百合根』『お造り盛り合わせ』『蛍烏賊と九条葱の辛子味噌和え』『ひじきと鮪のしぐれ煮』『野菜炊き合わせ』『法蓮草お浸し』『香の物』が並び、温ものには『鰆と木の芽焼き』『桜海老と壬生菜のかき揚げ』『お吸い物』。
 それに『コシヒカリのお米』に『生姜入れの肉味噌』が添えられていてデザートのわらび餅も一緒にある。

 とても美味しそう。
 お米も艶々で絶対美味しいやつ……!



「ここの料理は美味しいですよ、絶品だと思います」

「そうなんですね」

「はい、京料理が主になっていて……あ、いただきましょうか」


 私たちは手を合わせて箸を持つと、最初に法蓮草のお浸しに手をつけて香の物や蛍烏賊と九条葱の味噌和えを食べる。


「どうでしょうか? お口に合いましたか?」

「はいっ、とても美味しいです。とても出汁が効いてますね……美味しいです。味付けも好みです」

 実は私、出汁オタクで……よく、通販で出汁パックを購入するし出汁には煩いのだけどこれは食材のおいしさを上手く引き出してる気がする。



「よかった。料理長も喜びます」

「あ、それにこのかき揚げとても美味しいです。さっくりしていて……本当に美味しいです」



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