財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
「はぁ〜……なんかお嬢様っぽい格好ね」
「采羽さまは正真正銘のお嬢様じゃないですか……ふふ」
「そうね、確かに」
私はふふっと笑うと「髪のセットしましょうか」と言われてドレッサーの前に座ると、髪を一つにまとめられて編み下ろしに毛先を白のリボンで留めてもらった。
薄いピンクのトーンで清潔感のあるメイクでとっても可愛い、自分ではないみたいに可愛い。
「ありがとう、素敵ね」
「ありがとうございます。昔、メイクアップの教室に通っていたことがあるんです。その時、学んだことが役に立ちました」
「そうなんだ、すごいわね。ありがとう」
そう言って立ち上がると、ミントグリーンのショルダーバックの中を確認してスマホをしまっていれば襖の外から声をかけられ宝船さんが到着したことを告げられて私は玄関へと向かった。