財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
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家を出ると黒瀬の敷地内に車が停まっていて運転席から男性が出て深々とお辞儀をされる。
「采羽さん、今日運転してくれるうちの運転手の青鷺だ」
「運転手さまの青鷺さんですね……初めまして、采羽といいます。今日はお世話になります。よろしくお願いします」
私は小さく頭を下げると「頭を上げてくださいませ」と言われて頭を上げる。
「采羽さま、こちらこそよろしくお願いします。お二人ともお乗りください」
「ありがとうございます」
青鷺さんが後部座席のドアを開けると、最初に宝船さんが乗り込むと手を差し伸べられ乗るのに支えてくださった。