財閥御曹司とお見合い偽装結婚。



「宝船さん、ありがとうございます」


 座席に座ると、椅子がとてもふわふわだった。座り心地が良すぎて感動する。感動しながらもシートベルトの存在を思い出して探す。


「采羽さん、シートベルトここにあるよ」

「えっ、あ、ありがとうございます……」


 教えてもらったはいいもののどこにあるのかわからず探していれば「ちょっと失礼」と宝船さんが言い覆い被さるように近づいた。ドア側にあるベルトを見つけると引っ張って留めた。


「よし、これでオッケーだよ」

「あ、ありがとうございます……宝船さん」


 お礼を告げると車が発進した。それから三十分ほどで目的地であるカフェに到着した。予約をしてくださったのか個室に案内された。



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