財閥御曹司とお見合い偽装結婚。



「そうなんだね、美味しいって言ってもらえて嬉しいよ。連れてきてよかった」


 カレーを食べて、デザートでバスクチーズケーキも注文して堪能し今は紅茶を飲みながらのティータイム。片思いをしていた時も思っていたことだけど本当にこの人、素敵な人だな……


「采羽さん、大事な話があるんだ」

「え、あ、はい……なんでしょうか」


 真剣な表情に真剣な声で言われて一瞬緊迫した雰囲気にのまれそうになるが言葉を絞り出した。


「俺と結婚してほしい」

「……えっ」


 そんな、会ってすぐなのに。急ぐ理由があるのだろうか……私は宝船さんが片想いしていたとはいえ、自分の立場は理解しているし覚悟はしている。

 だけど……



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