財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
「……わがままで、すみません! ダメですよね、これは聞かなかったことに」
「いや! 違うんだ。もっと、金銭援助だとかそういう金がらみもあると思っていたから驚いただけだ。わがままじゃないよ、当たり前だ。なるべく、ご飯は一緒に食べるし一緒に過ごそう。出張があればそれは出来ない、それだけは許してほしい」
「それはもちろんです。お仕事は優先してくださいませ! 宝船さんは何か希望はありますか?」
「俺のことは、愛さなくていい。だけど、俺は采羽さんのことを愛したいと思う。それだけは覚えていてほしい」
そう言われて私は、混乱した。これは偽装結婚で愛さなくてもいいと言ったのに彼は私を愛したいと言う。それは、私が彼を好きにならなくてもいいのかなってほしくないのかどちらなんだろう。