財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
食べ始めて一時間ほどでほとんどの人が食べ終わり、片付けをしていると「手伝うよ」と後ろから声が聞こえた。
「あ……榛名兄さま!? 今日は泊まりでは?」
「その予定だったんだけどね。采羽に会いたくて早めにね」
「もう、兄さまはお上手ですね。お父様は一緒ではないの?」
「父さんは、今日は泊まりだよ。お祖母様と話があるとかで」
そうなんだ……お祖母様と。じゃあ、明日の昼には帰って来るかな。
「お兄様、夕食はお食べになったの?」
「それがまだなんだ。何かあればいいなぁと思ってたんだが、ないみたいだね」
「ご帰宅されるとは思わなくて……簡単なもので良かったら、少し待ってもらえたらできると思います」
「手間をかけるが、食べたいな」
そう言われて私は「了解しました」と言い、着替えたらどうかを提案すると彼は出て行った。なので私もササっと皿洗いをして、冷蔵庫を開ける。
冷蔵庫には冷飯があったので、卵とレタスを使い玉ねぎ麹で味付けた卵チャーハンに冷凍食品の餃子を出汁で煮て水餃子を作ってお盆に乗せて居間に運んだ。