財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
  


 覚えててくれたことも、今回計画して連れてきてくれたことが何よりも嬉しい。


「何頼む? ここまで階段大変だったし、美味しいもの食べようか」

「そうですね、何が美味しいでしょうか……うーん、テレビでもやってたしらす丼が気になります」

「確かに美味しそうだね、じゃあ、それにしようか」


 翠翔さんは店員さんを呼び注文すると、味噌汁を勧められたらしく「味噌汁はどうする?」と私に聞いた。味噌汁が大好きな私はもちろん頷けば、それとお刺身の盛り合わせを注文してくれた。

「飲み物、紅茶頼んじゃったけど良かった?」

「はい。大丈夫です。ありがとうございます」


 十五分くらいで、しらす丼定食が運ばれてきた。生シラスは光でキラキラしていてとても綺麗でテレビで見たものより美味しそうだ。
 一口スプーンに乗せ口まで運ぶと甘くトロッとした新鮮な生しらすはとても美味しい。

 普通の茹でしらすしか食べたことなかった私からしたら感動するくらいに美味しい。

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