財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
「采羽ちゃんに心配かけたくなくて、いや自分が浮かれていただけで忘れてただけなんだけど……実は、その子に付き纏われていたんだ。実は宝船の一般社員だった彼女が勝手に好きになられて、でも、その子のような女子苦手なんだ。そんな時、黒瀬家のお祖母様に内密で呼び出され彼女が僕と結婚したいと言っていてそれを許すつもりはないと言われその時黒瀬本家の娘ということを知ったのだが……付き纏われていたことを言ってそしたら采羽ちゃんを紹介された」
え、それって理緒ちゃんの一方的なストーカーで悩んでてそんな時にお祖母様に私との縁談を勧められたってこと?でも、浮かれてたって何?
「翠翔くん、浮かれてたとは?」
「あ、そうですよね……お義兄様の前で言うのは恥ずかしいのですが、元々お茶席で采羽ちゃんを見て一目惚れしてしまいました。今まで、お茶席には父が行っていたんですが風邪を拗らせて代理で参加させてもらった時に……采羽ちゃんは忘れてるかもだけど、声をかけてもらったんだ。何も作法とか知らなくてね和室だったから靴下は白じゃないといけないこと本当に知らなくて黒色のを履いてて白の足袋を貸してもらったんだ。なかなか、指摘してくれる人いないから有り難かった。それに所作が綺麗で凛としていて素敵な女性だなって思い……僕が采羽ちゃんを好きなこと、お祖母様はご存知でお見合いをセッティングしていただきました」
「そうだったのか。それは、お祖母様も言っていなかったから知らなかったが……」
「はい、黙っていてほしいと僕からお願いしました。時が来たら、僕から話したいと……」
榛名兄様は「わかった」と言い、一度帰るといい帰って行った。兄様たちが帰ってから二人のリビングに戻ってきた。翠翔さんは私を見て名前を呼ぶとソファに隣り合って座った。