財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
縁談
翌朝、私はいつも通り朝食を家政婦さんと作っていた。
「采羽さま、味噌汁の味見をお願いします」
「うん。ありがとう……ん、美味しいわ。でも私に聞かなくても良いよ」
「いえ、采羽さまのお味噌汁は美味しいですからね」
「まぁ、ありがとう。さぁ、さっさと作ってしまいましょうか。もうすぐお兄様たちが起きてくる時間だわ」
私が声を掛ければすぐに「はい!」と返事があがり、お皿に盛り付けをしたりと配膳の支度をして七時になり居間へと朝食を一人ずつ並べた。
白米に焼き鮭や卵焼きに大根の糠漬けやひじきの煮物にお味噌汁が並び、並び終えたところで、優羽斗兄さまと榛名兄様が「おはよう」と挨拶をして自分の席に座る。
「おはようございます、お兄様」
「おはよう、采羽。今日も美味しそうだね」
「えぇ。榛名兄さま……絹が新鮮な鮭を市場で仕入れてくれたから」