財閥御曹司とお見合い偽装結婚。



 朝食を食べ終わり、片付けを簡単にしてから私はお父様の部屋の前にやってきた。お父様と話すのは緊張はしないけど、日本家屋に似合わないこの部屋のドアは威圧感があって毎回心臓の音が早くなる。

 深呼吸を一度すると、ドアをトントントンとノックさせ「采羽です」と告げれば室内から入るよう言われてドアを開けて部屋に入った。



「……失礼いたします」


 部屋の中は学校の校長室のような空間で、本やら資料やらが並べられていて中に入っても相変わらず緊張する。


「采羽、呼び出してすまないな。そこに座ってくれ」


 お父様にソファへ座るよう言われて私は茶色のソファに座った。


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