凄腕外科医は初恋妻を溺愛で取り戻す~もう二度と君を離さない~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】

 俺は茉由里を抱き上げ、リビングへと向かう。ベッドソファに座り、自分の膝に乗せてさらさらと髪を梳くと、気持ちよさそうに茉由里が目を細めた。溢れる愛おしさと切なさに胸をかきむしりたくなる。そうしなければ、幸福で心臓が破けてしまいそう。

「ずっと君に恋してるんだ」

 俺は彼女の頭に鼻を寄せて言う。不思議そうに茉由里が首を傾げた。

「君に恋し続けている。恋に落ち続けているんだ」

 どんどん深くなる感情。君に落ちていく俺。
 そっと形のいい耳殻に唇を寄せる。軽くキスをしたあと舌で溝を舐めると、茉由里の呼吸が微かに上ずる。なだめるように背中を撫でながら、かわいい耳をもてあそぶ。
 茉由里の耳の外側には、ダーウィン結節というほんの小さな突起がある。進化の過程で残された、よくよく見ないと気が付かないそれが昔からかわいくて、甘噛みして口内で舌でよしよしと撫でる。

「ふぅ……っ」

 茉由里から零れた甘い声に、内申舌なめずりをする。執着が欲望と入り混じり、もはや自分でも制御できない情動となっていく。
 耳の裏を舐め、外耳に舌を挿れる。同時に茉由里を抱きしめて、硬くなった昂ぶりを彼女の腰に押し付けた。
 どれだけ俺が彼女に欲情しているか伝えなくては。背骨を腰から指先で撫で上げながら、自分から零れているなんて思えない糖度の高い声で言う。

「茉由里、かわいい」

 とたんに茉由里が肩を揺らし、耳まで赤く染める。正面を向くように抱き抱えなおし、華奢な茉由里の手の甲の骨……中手骨を指の腹でなでさする。指と指をゆっくりと絡め、手のひらを指先でくすぐった。ふふ、と笑う茉由里の声は、くすぐったさと快楽と半々くらいの色を滲ませる。手のひらから手首にかけて親指の腹をすべらせ呟く。

「こんなに細いのに、片手で祐希を抱っこできるんだからすごいよな」
「ん? だっていきなり一歳の祐希が現れたわけじゃないもの」

 柔らかな雰囲気で茉由里は告げる。2965グラムの祐希を産み、ここまでひとりで育ててきた母親の言葉だった。そっと微笑む。ここからは俺も一緒だから。

「もっと重くなるだろうなあ。俺の背が高めだから、あっという間に君よりでかくなるかも」
「楽しみだなあ」

 ちっちゃい祐希がいなくなるのは寂しいけど、と茉由里が笑った。その笑っている茉由里の手首を掴み、自分の口元に持っていって唇を押し付ける。驚いた様子で首を向けた茉由里の目を見ながら、そのままべろりと動脈のあたりを舐める。

「あ……」
「女の子も欲しいな」
「え」
「まだ、もう少し先だろうけど」

 皮膚を甘く噛む。とろんとした茉由里の瞳に官能がちらつく。俺はふっと笑ってから、手のひらや爪にもキスをして、それから嫋やかな指を舐める。手を引こうとした茉由里の手首を掴み中指を舌で包むように舐め、爪と肉の間を舌先でつつき、指全体を口内におさめてちゅっと吸う。その間も、茉由里から目を離さない。寄る柳眉は官能のためだろう。指と指の間を丹念に舌で擦ると、ああ、と茉由里が情欲と困惑たっぷりの声を漏らした。たまらなくなり、後頭部を引き寄せるように唇を重ねる。わななく唇を割広げ、口内を貪る。震える舌を噛んで吸い上げた。
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