凄腕外科医は初恋妻を溺愛で取り戻す~もう二度と君を離さない~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
けれど、なぜ?
睨みつけている俺に向かって男は続ける。
「週刊文冬の今野です」
「……一体何のご用です」
「やだなあ、わかってらっしゃるでしょうに。そちらが愛人の女性と隠し子ですね」
「……は?」
低い声が出た。愛人? 隠し子?
「婚約者の北園華月さんはこのことをご存知なんですか?」
その言葉でこれが誰の差金で、何を狙っているのかすぐに閃く。そうまでして茉由里と俺を引き離したいか。
「北園……っ」
ギリっと奥歯を噛み締めた。
微かに背後をうかがえば、茉由里は青い顔をしていた。けれど目が合った瞬間、ふわりと微笑まれる。信頼に満ちた瞳。自然に唇に笑みが浮かんだ。俺は彼女さえいれば、いくらでも強くなれるんだ。
俺は茉由里を抱き寄せて男に不敵に笑ってみせた。
「愛人だの隠し子だのおかしなことを。彼女は俺の世界でたったひとりの大切な女性です」