フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
………って、思ったんだけど。


ヴィーン ガシャン


ゲーム内にあるクレーンに引っかかっている小さなマスコットがコロッと落ちる。


「…彩ちゃんってゲーム苦手?」


「苦手、だったらしいです…」


良いところを見せれるどころか悪いところを連発で見られてしまった。


うぅ…私ゲーセン苦手だったなんて…!


せっかく良いところ見せたかったのに…!


「これ欲しいの?」


「あ、はい!」


「ちょっと貸してもらってもいい?」


「へ?あ、はい、いいですけど」


先輩は100円玉を入れて、操作をする。


そしてーーーあっという間に取ってしまったのだ。


え…!?


「はい。どうぞ」


「え、あ、え!?先輩、ゲーセン得意だったんですか!?」


「いやまぐれ」


「!!?」


まぐれ…!!?


先輩、めちゃくちゃゲーセン得意なのでは…!?


「それより、はい。欲しかったんでしょ?」


「…ありがとう、ございます」


良いところを見せるどころか見せられてしまった。


先輩って、すごいなぁ…。


「じゃ、じゃあ次は先輩の行きたいところに行きましょう…!」


「…んーじゃあちょっとここから離れちゃうんだけど、いいかな?」


「?全然いいですよ…!」


先輩の好きなもの知れるってっことだもんねっ!


けど…この辺りに楽しめる場所ってあったっけ…?
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