フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
柊先輩に富谷先輩の言う“いつもの席”に向かい、席に座る。


そして座って外を眺めた時、人気が少ないけど色鮮やかな緑で色とっている公園が映った。


綺麗…!


「こんなところに公園があったなんて…!」


いつも通ってたのに、どうして気が付かなかったんだろう…。


今度、怜実を誘って寄り道して帰ってみよう…!


「ね、俺もここ通い始めてから知ったんだよ」


「そうだったんですね…!」


隠れスポットって言うのかな?


何だろう、なんか。


先輩と同じ場所で同じものを共有できるってすごく嬉しいっ…。


パンケーキ食べてる時よりも幸せ、かも…?


「櫂、えーっと、小桜さん。メニューどれにする?」


柊先輩はサッと薄いメニュー表を差し出してきた。


そうだ、メニュー!


「…俺はいつもので」


「先輩、“いつもの”って何食べるんですか…?」


「んーとね、来てからのお楽しみ。そういう彩ちゃんは?」


「え、えーっと、これで」


富谷先輩にはあえて決めたスイーツを見せず、柊先輩に決めたメニューを見せる。


その時柊先輩は「りょーかい」と軽い返事をしてキッチンへ戻って行った。


「…彩ちゃん、どれにしたの」


「ひ、秘密です…!先輩も“来てからのお楽しみ”って言いましたからお互い様です…!」


「…わかった。あ、じゃあさ、お互いシェアしようよ」


「え…?」


「おいしさ2倍になんない?」


「!いいですね!」


先輩とならおいしさ2倍どころか100倍なんだけど…!!?


ウキウキして喜んでいた私を先輩はフッと優しく微笑んでいた。


ドキッ。


私の心臓は高鳴る。


また、そんな笑顔っ…。


失礼ながらも、今日の先輩は、いつもと違う。


調子狂うなぁ〜…。
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