フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる

作戦変更【櫂side】

小桜彩ちゃん。


1年文化祭実行委員長。


うさぎのようなツインテールに紅茶のような深い茶色の髪色で、


明るい印象を引き足せる春山学校特有の淡い黄色のブラウスが似合う女の子。




俺は、彩ちゃんに、恋をしている。




恋をしたのは、彩ちゃんが入学した春。


生徒会長となった俺は、学校代表として入学式の挨拶をすることになった。


生徒会長になったのは周りの推薦。


『富谷、生徒会長とかどうなん?』


『あ、いや、俺はーー…』


『櫂、生徒会長とかやったら絶対かっこいいでしょ!』


生徒だけじゃない。先生たちも同じようなことを言った。


『富谷が会長になってくれるなんて嬉しいよ』


『我が校の誇りだ』


俺自身学校のことなんてどうでもよかった。


めんどくさいことは他人に任せればいいと思った。


けど、やられたらやり返すって言葉あんじゃん?


それが、俺には倍に返ってきて、結果的に生徒会長をするハメになった。



そして気が進まないまま入学式が行われた。


生徒会長挨拶の時、俺は彩ちゃんに出会った。


前の席でも後ろの席でもない真ん中あたりの席で目に入り、その時俺の中で何かがストンと落ちてきた。


一目惚れをしたんだ、と分かった。


そして同時に生まれて初めてめんどくさい役職である生徒会長というものをよく思ったんだ。
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