フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
それからだと思う。


彩ちゃんとすれ違うたびに目で追って、目が合った時はこれでもかってくらい嬉しくて。


毎日だるい学校に行く意味を作ってくれたのは、彩ちゃんだった。


ーーーだから、告白された時、俺は嬉しかった。


『先輩のこと、ずっと好きでした』


だからこそだ。


『あーごめん、無理。タイプじゃないんだよね』


何であの時断ったんだろうって、後悔している。


あの時、俺はーー…



5月。


日が照らす中庭の端っこで起きた出来事。


「先輩のこと、ずっと好きでした」


今、目の前にずっと好きだった女の子・小桜彩ちゃんがいる。


そして今、好きな子に告白されている。


「あー…」


だんまりとした空気が漂う。


好きなんだよ。めちゃくちゃ好きだよ。


けど……さっきから感じる何かの“視線”。


それが気になる。


何でこんなタイミングで…。


目だけで背後を配ると、クラスにいる一軍女子3人だった。


…うわっ、もしかして“また”つけてきたの…?


彼女たちは俺が誰かに告白されるたびに必ず校舎裏に隠れ、現場を見て、


さらにはーーー気に入らない相手はとことん潰そうとする。
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