フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
例年生徒会長の他生徒会の人たちは“生徒会の権利”でなぜか生徒会室を自由に使っていいという教員からの許可が下りている。


この学校の半分は、生徒会が学校をまとめているからだ。後学校代表ということでも信頼があり生徒会室の自由化がされている。


って言っても、ほとんどは生徒会長が生徒会室を使っていて、


元生徒会長である凛先輩も今至る俺も使っていることから、実質“生徒会長の権利”となっている。


だから俺も夏休み中仕事がないのにも関わらず生徒会室に来ていた。


「てか、何で予算書作ってるの?しかもそれ文化祭のじゃん。まだ先のやつ作ってどうしたのよ」


生徒会専用のパソコンを前から覗き込むように見てきた日暮先輩。


「……早めに作って楽したいだけです」


半分本当で半分嘘。


この前、彩ちゃんと文化祭の下見にショッピングモールに行った時の言葉を取り消すわけには行かない。


『俺、文化祭の日、行っていい……?』


文化祭当日は実行委員も生徒会もわりと忙しい。


文化祭の最終確認、来場の受付、予約制の学校案内、校内の警備、文化祭の片付けなどを実行委員と生徒会でしなければならない。


そして当日だけが仕事ではなく、後日予算書を提出しなければならないのが実行委員長。


そのための予算書を作成するのが生徒会の仕事。


そんな中で一緒にいれる時間なんて精々30分程度。


少しでも彩ちゃんと長い時間を過ごすために、


早めに作り、早めに渡して少しでも楽させたいという一心で作っていた。


「櫂くんって、そんな真面目くんだったっけ?」


「だから楽したいだけですって」


「ふぅん〜。…けどなんかあるよね〜、櫂くんって隠れサボり魔だし」


「点数も出席日数もちゃんとはしてるんで平気ですよ」


探りを入れようとする凛先輩に俺は話を逸らすように笑って誤魔化した。
< 27 / 56 >

この作品をシェア

pagetop