フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
それから、紗奈ちゃんは、富谷先輩にグイグイアタック。


「せんぱぁぁい♡今日のお昼、委員会のことお話しませんかっ!」


「悪いけど、柊と食べる予定だから」


「じゃあ、明日とか!」


「ごめん、生徒会あるから」


そして富谷先輩に会いに行かず、ただ紗奈ちゃんとのやり取りを見ることが続いた5日目の今日。


また、やっちゃったっ…。


私のバカ…!


最近全然先輩の教室行ってないのに…。


紗奈ちゃんと富谷先輩が、お似合いだなと思って。


もしかしたら付き合っちゃう可能性もあるのかなって思って、私は邪魔者なのかなと思って前に出れない。


「あ、櫂に用事?」


「あっ…いえ、今日はたまたま移動の帰りでここを通っただけです」


富谷先輩のクラスメイトに話しかけられたことに気がつき、ニコッと何事もないように笑って返事をした。


先輩に会うのが怖い。


そして私は今日も、先輩のいる教室を後にした。



そんな日常が続いていた時、まさかに事件が起こった。


「あんたうざいんだよ…!!!」


昼休み。


日の差す校舎裏で女の子3人組が女の子1人をいじめているのを見かけた。


「痛っ…」


よくよく見ると、それは紗奈ちゃんと富谷先輩と同じクラスの一軍女子3人組の先輩たちだった。


「櫂、迷惑がってるでしょう!?わかんないの!?」


ど、どうしようっ…助けるべきかな。


けど、あれ?


私も、富谷先輩に同じことしてるよ…?


図々しいこといっぱいしてるよ…?


何、この差。


好きな人を想うことだけで、何で紗奈ちゃんは人に縛られなきゃなの…?


「大体顔とか声とかうざいんだよ。可愛い声出しちゃってさー?


櫂があんたを好きになることなんて一生ないっつーの」


きっと、あの子達は羨ましいんだ。


私だって、紗奈ちゃんが羨ましい。


紗奈ちゃんは可愛いから。


とても真っ直ぐな女の子だよ。


「紗奈ちゃんをいじめるのはやめてください…!」


その時、思っての行動だった。いつの間にか私は先輩たちの前に出ていた。


「な…!?」


「小桜…さん?」


「今言ったこと富谷先輩にも言ってみてくださいよ!


それが出来ないならもう紗奈ちゃんをいじめないでください…!


行くよっ!」
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