フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
お弁当のふたを開き、お弁当に入っている唐揚げを食べた。


「それで、話って…?」


やっぱり紗奈ちゃんが転校しちゃうとかかな…?


悲しいことだけど、受け止める自信はある…!!


いつもそうだった。


小学校の友達が急に転校するって言われても、泣かずに受け止めることが出来た。


「だから大丈夫だよ、紗奈ちゃん…!受け止める覚悟私あるよ…!」


「彩ちゃん…。じゃあ、言うね。あのね、


この前たまたま聞こえちゃった話なんだけど……富谷先輩、好きな人がいるんだって」


「え、あ、それは、知ってる…2年生の噂がこっちまで流れて来たし…。入学式で一目惚れってやつだよね?」


「うん…。それで先輩の好きな人…、3年生の元生徒会長さんって噂なんだけど、もしかしてそれも知ってたりする?」


「え………?」


2つ目の唐揚げを食べようとする手が止まる。


3年生の元生徒会長、さん……?


「そ、それ聞いたのがね、この前のお昼休みで。


たまたま2年生の先輩が話してるの聞いちゃって。それでねーー…」



先週。


『櫂ってさ、3年の元生徒会長好きな説あるよね!』


『確かに。うちらと話してる時と違って、楽しそうっていうか、なんか丸いよね』


『絶対櫂元生徒会長好きだわ〜』


『元生徒会長なんて敵わないよね〜』



「ってな感じで、先輩たちこの前言ってて…」


「そう、なんだ…」


私は今まで何てバカな勘違いしてたんだろう…


「あ、でもこれはあくまで噂だし!真に受けずにさ、これからも頑張ろうっ?」


「無理だよ…」
< 38 / 56 >

この作品をシェア

pagetop