フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
「いじられてるね、幼馴染くん」


「昔からなんですよ、昔から私をいじるからいじられてるだけじゃないんですか?」


「っぷ、幼馴染くん大変だねぇ」


龍輝に呆れ気味な私に対して、櫂先輩はクスクスと面白がっているように見えた。


「笑ってないで助けろよ!」


「え〜〜」


「って、またすごい行列出来ちゃってる!やっぱり私午前はギリギリまでやります!」


「もうっ、仕方ないなぁ。ま、彩ちゃんらしいし、いっか」


「じゃあ俺は終わるまでここでゆっくりしとくよ」


「ありがとうございます…!」



そして、午後の部に入り、私たちはぐるりと校内を回る。


その度々に…


「あ、富谷先輩と彩ちゃんだよ!お2人さん、よかったらカップルゲームどうです〜?」


「カップルゲーム!?」


「やってみる?」


「あ、う、や、やってみます…!」


カップル限定のゲームに誘われたり、


「カップル限定の甘々ホイップストロベリードーナツでーす♡」


「わぁ…!美味しそうですね!」


「はい、彩。あーん」


「ふぇ!?」


カップル限定の甘々スイーツをいくつか食べたりした。


そこまではまだいい、んだけど……


カップルゲームの時の櫂先輩は、


「シューティングゲーム苦手?えっとね、ここが打つところでーー…」


「あ、の、先輩…」


「んー?どうしたの、彩」


「距離、近いです…」


あと少しでキス出来ちゃう距離。


顔近すぎるっ…。


「?そう?他のカップルも似てると思うけどなー」


「先輩は距離近すぎるんですって…!」


「かっわいー、顔真っ赤だね、彩」


「な…!?」


先輩の甘々発言連発で私の心臓は常に大忙し。


カップルスイーツの時は、


「ほら、あーん」


「んっ!美味しいれす…」


「それならよかったね…って、あ。ちょっと口元ホイップついてるよ」


「あ、え、どこですか!?」


「ほら、ここ」


先輩の指で私の右頬に覆われているクリームを掬って、ペロッと舐めた。


「っ!!?ちょ、先輩…!?」


「ん?どうしたの」


「え、えっと、」


こ、こんな恥ずかしいこと、堂々と…。


ドキドキしすぎて心臓がまた大忙しだよ…。


「彩、やっぱり可愛い。…もっとその顔見たいかも」


「な…!?」


櫂先輩はカップルスイーツの時のように、また私の心臓を忙しくさせた。


櫂先輩、元カノとか居たのかな……?


じゃなきゃこんなドキドキさせるようなことしないよね……?
< 51 / 56 >

この作品をシェア

pagetop