フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
キーホルダーを作り終え、後夜祭が始まる中庭へ2人で向かうと、怜実や紗奈ちゃんたちが昇降口で集まっていることに目が映った。


先輩と一緒に向かうとそこには柊先輩もいた。


な、なんか大集合しちゃってる…!


「怜実!」


「よかった。来てくれたのね」


「え?」


「?さっき連絡送ったのよ。けど全然既読しないから心配で」


「えぇ!?嘘!」


すぐさまスマホを確認してみると、通知が何件も溜まっていた。


通知がいっぱいある…!!文化祭を楽しみすぎてたせいだ。


「ごめんね、怜実」


「既読しなかったほど楽しんだってことでしょ?別にいいわよ」


うぅ、余計に気遣わしちゃった…。


「てか柊、何でこの子たちと?」


「いやたまたま。小桜さんの友達にたまたま出会して、


どーせ2人で後夜祭過ごすんだろうなって思ってたから一緒にいたんだ」


失恋させてまだ1ヶ月しか経ってないのに、気遣わしてる…!


「けど連絡入れてたんだな」


「既読しなかったから正直来るか曖昧でしたけどね」


怜実と柊先輩が会話を交わしている時、先輩私を自分の肩に引き寄せた。


えっ、な、何…?


「みんなで集まってるところ悪いんだけど、俺彩と話すことあるから。後夜祭終わったらまた」


「結局2人で過ごすんだな」


「話すことあるから」


そう言って、私の手を繋ぎ、後夜祭が行われている中庭の中心部の方へ歩いていく私たち。


「……何あいつ。人付き合い悪い奴だな」


「そういう坂井だって彩ちゃん中心に動いてたくせに」


「はぁ“?」「あ”?」


「こらそこ喧嘩しない」


「…櫂って意外と恋愛志向だったんだな」


「あー確か“火が灯る中心部で永遠を誓った2人は幸せになれる”っていうベタなジンクスですか?」


「そうそう」


その時、紗奈ちゃん龍輝が口争いをして、私たちを見てこの学校のジンクスを話していた怜実と柊先輩には気が付かなかった。
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