フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
龍輝が私の席の方に体を向けて、古文を1つ1つ丁寧に教えてもらっている時だった。


「待ってわかんない、頭パンクしちゃうよっ…!」


「おいおい、諦め早すぎるぞ。…富谷先輩にアタックする時みたいなやる気?どうにか出ねぇの?」


「うぅ…古文と先輩はちがぁう…」


「ありゃ、彩がやる気なくした」


いつものことかのように机にうつ伏せになっている私にいちいちちょっかいをかけてくる龍輝。


机にうつ伏せになって、廊下を見た時だった。


「…補習やってるね」


「あの先生、普段可愛いけどスイッチ入ると怖いくらい性格変わるよな」


富谷先輩と…先輩の友達、かな?


田村先生、マジでそれなんだよ。


うんうんと心の中で頷いていた時、廊下にいる富谷先輩バチッと目が合った、気がした。


ふぇ…!?


「あ、この前櫂が振っちゃった子」


「…柊、早く生徒会室行こう。てか行くよ」


「あ“!?ちょっと…!!いいのかよ!」


何事もなかったように補習をしている教室を走り去っていった富谷先輩と友達であろう柊(しゅう)という名前の先輩。


……。
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