「とりあえず俺に愛されとけば?」





「とても綺麗です」

「こういうの好きだと思って。昔から可愛いものとか、綺麗なもの好きだったろ」

「……はい」

「ちなみにSAKURAの建物は?」

「え……?」

「好きじゃない?」

「好きです、キラキラでお城みたいで」

「よかった。なずなに気に入ってもらえるよう、何度も案を出して完成させた甲斐があった」



いやいや、よくないよ……!この人、本気……?

ふたりがけのソファに腰を下ろしながら佐倉さんがそんなことを言うから、思わず顔が熱くなる。

そんな当たり前みたいに、私の好みを把握していないでほしい。

しかも、この人なんて言った?建物を私に気に入ってもらえるように?

私の大好きなあのSAKURAのショップが、え?まるで私のためみたいな、そんな、いったいなにがどうなっているのか、情報量が多過ぎてわけが分からない。



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