「とりあえず俺に愛されとけば?」
佐倉さんは、たぶん全て分かっていて、聞いているんだ。
「……見ました。正直、全国に向けてなにを言ってるんだって、思いました……しかもあの日、最後って言ってたのに」
「最後だったろ。俺を思い出してないなずなにした最後の質問。今のは俺を思い出したなずなにした最初の質問」
「……屁理屈、です」
「言ったろ俺、諦め悪いって」
そんなに思ってもらえるほどの価値が私にあるとは到底思えないのだけど。
「簡単に消せる思いなら18年も好きでいない。小学生のころの約束なんて果たしにこない」
“大きくなったらなずなの花をプレゼントするよ。迎えにくるから”
なずなの花束に視線を落とす。
花束持って誕生日の日に初恋の相手に会いに行くって、本当に漫画の中のヒーローみたい。