「とりあえず俺に愛されとけば?」
「佐倉さん、これは、」
「これはSAKURAの新作ジュエリーにして一点物」
佐倉さんはすっと立ち上がる。
「改めて、綾瀬なずなさん」
名前を呼ばれてつられるように私も立ち上がる。
「さっきも言ったが、俺のこといまはまだ好きじゃなくてもいい。他に好きな奴がいてもいい。
その指輪もいまは着けなくていい。
これから俺の全てをかけて、なずなを愛してみせるから、証明してみせるから、
それでも、なずなの気持ちが今後俺に向かなければそのときはきっぱり諦めるから、
結婚を前提にお付き合いしてください」
そんなプロポーズあるだろうか。
「好きに、なれるか分からないですよ……」
「いいよ、好きにさせてみせるから」
「……佐倉さんのことたくさん傷つけるかもしれないですよ」
「いいよ、もう散々傷つけられた」
「……付き合っても、さよならになるかもしれないですよ」
「いいよ、それは俺の力不足だから」
「…………」
「終わり?」
「えーと……、」
「そんな、ダメになる可能性ばかり考えるなよ。
そんなこと考えられないくらい俺でいっぱいにしてみせるから、」
するりと佐倉さんの指先が私に伸びてきて、手首を引かれて佐倉さんにダイブする。すっぽり佐倉さんの腕の中に閉じ込められた。
耳元で、甘い声音が私の全身を支配した。
「なずなはただ、」