「とりあえず俺に愛されとけば?」
「はっきり言って森坂店長よりかっこいいと思うけど」
「え、ゴホゴホッ」
突然の香澄の爆弾発言にナポリタンが変なところに入って思わずむせる。
「え、ちょっとごめん、ごめん。はいお水」
「ゲホゲホ、」
慌てた様子でお水を渡され一気にそれを喉へ流し込んだ。危うく死ぬかと思ったよ。
「ちょっと、香澄、いきなり変なこと言わないでよ」
「いや、ごめん。正直な感想を言ったまでなんだけど、まさかあんたが森坂店長の名前にそこまで反応すると思わなくて」
そんなの私がいちばんびっくりしてるよなんて音にはせずに飲み込んだ。
「ケホケホ、ごめん、私ちょっとお手洗い行ってくる」
「う、うん」
鞄の中からピンク色の桜の刺繍が施されたポーチと、お揃いのハンドタオルを掴み、とりあえずひとりになって気持ちを落ち着かせようと席を立った。