「とりあえず俺に愛されとけば?」




香澄も私もこのブランドが大好きで、この店から徒歩8分ほどで行ける場所に支店があるので、仕事の終わる時間が一緒の時はよくふたりで足を運んだりしていた。




「あたしもいま、欲しいグロスがあるんだよね」




私のタオルを見つめながら切実に、ため息と共に溢れ落ちた香澄の言葉。どうやらそれを買う為に貯金をしているみたいだ。




「今日、早番だから見に行く?」

「えー行く行く!!」




私の提案に瞳をキラキラに輝かせた香澄は「買っちゃおうかな」と独白を溢し悩んでいる様子。




「じゃあ、帰りに」と約束をして、私たちは仕事に戻った。






ーー18時過ぎ。




「楽しみ!あたしグロス買っちゃおう」

「私もなにかいいのあったら迷っちゃうな」




仕事終わり、香澄とふたりで昼に約束していたSAKURAに向かった。昼に悩んでいたのが嘘のように香澄はこの短時間でグロスを買うことを決めたらしい。





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