「とりあえず俺に愛されとけば?」





「あ、そうだ、なずな、これ」

「え、」




「じゃあ、」と立ち去ろうとした佐倉さんはなにかを思い出したように私の名前を呼んだ。つられて私は声の方へ向く。




「これ、ちょっと早いが誕生日プレゼント」

「……え」




そう言われて渡されたのは、ピンク色に桜型の金の箔が押された高級感漂う箱。

『あなたに私の全てを捧げます』
shepherd’s purse & cherry blossom fragrance



パッケージに書かれたその文字にさきほどまで、私と香澄が見ていたポスターの商品だということを察知した。発売は来月のはずなのに。




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