「とりあえず俺に愛されとけば?」
店長の方を見ていなくてよかった……。
いくつになったって恋をすることは難しい。歳を重ねたら重ねた分だけ相手の心が読めたらいいのに。臆病になっていくばかりだ。
すーっと、息を吐き出してカラッとした声を作る。
「もちろんです!一緒に行って、彼女さんに素敵なプレゼント選びましょう!」
「頼もしいな、ありがとう!」
にっこりと口角を上げて、店長に微笑んでみせた。私にはそれしかできない。
「じゃあ、いつなら大丈夫か後で教えて」
「はい!」
「じゃ、俺ちょっとストックルームの在庫整理してくる」
「……はい」
泣きそうな震えた声なんて、出すわけにはいかない。
店長の背中を見送って営業が始まるまで無心で目の前の商品の在庫を数えた。