「とりあえず俺に愛されとけば?」




ーー5日後。



森坂店長と閉店時間の早い土曜日にSAKURAに行こうということで話はまとまり、今日がその日。



朝からなんだか憂鬱でいつもなら早く過ぎてほしいと思う仕事の時間も、今日に限っては終わらないでほしいと願うほどだった。



店長と彼女さんのプレゼントを見に行くなんて、私はいったいどんな感情で店長と一緒にいたらいいのだろう。断れない自分がそもそもいけないのだけれど……。



店内の有線放送が蛍の光に変わった。レジの上の時計を見れば16時50分。



店の周りはオフィスが多く、サラリーマンとOLがお休みの土曜日、日曜日はお客さんの数が少ない。なので平日は19時閉店のところ土、日、祝日は17時までの営業になる。



出勤も今日は店長と私だけ。それも今日SAKURAに行くことになった理由のひとつだ。16時ごろからお客さんは現れず、店長はすでにレジのお金を数え始めていた。




「綾瀬、多分もうお客さん来ないと思うし先に着替えてきて」

「え、でもまだレジ閉めるの終わってないですよね?売上報告も」

「大丈夫、レジはもう終わるし、売上報告も俺がやっておくから」




テキパキと仕事をこなす森坂店長。この様子だときっと17時になってすぐに店を出ることができるだろう。



< 34 / 110 >

この作品をシェア

pagetop