「とりあえず俺に愛されとけば？」

「来月の綾瀬の誕生日プレゼント、この香水でどうかな？」

「え、」




店長、いまなんておっしゃいました……？
私の聞き間違いですかね……？



しばらくフリーズして返答をしない私を、見事に違う意味で解釈した店長は「あれ、気に入らない？」なんて根本的に間違った方向で話を進めていこうとする。



店長、そういことではないです……。




「いやいや、あの店長、今日は彼女さんの誕生日プレゼント見に来られたんですよね……？」

「うん、そうだけど、今日こうして付き合ってもらってるし、来月綾瀬誕生日だし。それに、」

「それになんですか？」

「この香水、綾瀬にぴったりだろ」

「え、どうしてですか……？」




わけの分からないことを言った店長は、さらに私の頭が混乱するようなわけの分からないことを音にする。



もしかして、森坂店長は私が佐倉さんにこの香水を貰ったことを知っているのか……？お喋りな香澄が話したとしたら、もしかしたらありえる……。



あれ、でも貰ったことを知っていたらわざわざ私の誕生日プレゼントにこの香水をなんて、二重になるようなことはしない、か……。



まさか、店長が佐倉さんと知り合い？でも、知り合いなら彼女のプレゼントを買いに来るのにわざわざ私と一緒に来ることもないはずだ。



じゃあ、いったいどういうことですか、ね……？