「とりあえず俺に愛されとけば?」




本気の人の気持ちを適当にあしらうなんて、同じ立場の私にはできない。胸が痛いことを誰よりも知っている。


困る私に佐倉さんは冗談と笑いながらいつものトーンで「ほら」と再度こちらにタオルを差し出す。


それを受け取れば冷んやり冷たくて、素敵なSAKURAのタオルをわざわざ濡らして用意してくれたんだと、優しさにきゅっと胸が締めつけられた。




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